前回に引き続き開票作業以降のお話をしたいと思います。前回のお話は。投票までの話でしたが、投票が8時に終わると開票所から投票箱がタクシーで開票所に集められます
開票作業は、多くが江東区の場合は東陽町のホテルの宴会場で実施されますが、タクシーが集まる様はなかなかのものです。タクシーの中には投票所の責任者の方が乗っていて、区内それぞれの地域から集まります。
一般的には、 東陽町に近い投票所が一番早く到着し、区内でも遠方の有明や亀戸の区界の投票所は、20分ほどかけて到着しますが、中にはトラブル等があってなかなかタクシーが来ない時はヒヤヒヤしたものでした。
例に挙げた区議・区長選は翌日開票なため投票の次の日に開票作業を実施します。ただし、今回の衆議院選挙は 当日の開票になります。
開票が始まると、まず投票箱が会場内に並べられた各テーブルで広げられます。候補者の名前で票がまとめられて行きます。平行して、投票箱が空かどうかのチェックをします。2回目のブログにて説明しましたが、開票管理者・立会人10人ほどいます。その10数人でその投票箱の中に票がはさまってないかのチェックをします。
一方、開票作業をしている場所では、候補者ごとに纏めていくという話をしましたが、ほとんど人間がやる作業ですが、一部機械化がされています。いわゆる OCRを使ったもので、候補者ごとに自動的に票をまとめてくれます。
徐々に集められた候補者ごとの票ですが、ある程度集められると点検されて、今度は枚数計算係に渡されます。そこでは、お札を数えるような機械を使って何枚あるかのチェックをし、一定の枚数で束ねられます。
500票に束ねられた票は、開票管理者・立会人の箇所に集められて、各人再度チェックし問題ない束であれば押印をして次の人に回します。
その票の束は、候補者ごとに積載台に積み上げられます。
区長選など、10万を超える票が束ねられるのを見ると圧巻です。
そして、だいたい1時間ごとに、担当の方が各候補者の数字を発表します。
テレビで発表される、●●時現在開票率●●%の得票率は●●というのは、この発表を基に公表されます。
さて、後半戦になると「疑問票」の取り扱いに関するお仕事が発生します。2回目のブログで実例を説明しましたが、手書きであるがために曖昧な票が発生します。その票を疑問投票整理係で区分します。
開票管理者・立会係がその疑問投票整理係の責任者にどのような疑問票があったか、また、どのように票としてカウントするのか、しないのかの説明を受けて、管理者・立会人がそこで理解します。
それらの票も加わって、最終的に票が固まります。
そのような作業を、短くて2時間、参議院選など複雑なものは7時間ほど時間がかかった記憶があります。21時に開票作業を始めたので、終わるのが早くて23時ころ、長くて朝の5時ころでした。
皆さんお気づきかもしれませんが、当選確実が下手をすると20時ジャストに出ることがありますよね。その時は、開票作業も始まっていません。
何かの選挙で、開票作業が始まる前に“当確”がでてしまい。何とも言えないこともありました。
さて、固まった票ですが段ボールにしまわれて、封印されます。そして、開票管理者・立会人の割り印をして終了です。
なかなか大変な作業ですが、ITシステム化されると一瞬で結果が出ると思われます。さらに、この開票作業で以下の係がいるのですが、何百人の作業者がかかわっていて、それが選挙費用になっていきます。
ü 分類点検係
ü 枚数計算係
ü 結束係
ü 疑問投票整理係
ü 庶務係
ü 広報係
ü 得票計算係
現状では、票の数が合わないなど、開票作業のトラブルリスクもはらんでいるので、リスクの観点でもITシステム化は寄与すると思われます。
投票時のIT化において、自宅での投票の場合、選挙権のある方が自分の意志で投票しているかを証明できるのか?といったことが問題になりますが、少なくても投票所にタッチ式のボタンを置いて、投票者がそれを押すというやり方をとるだけでも、選挙のコスト削減とトラブル防止、そして、開票結果の即時発表がなされると思います。
そうしない理由が、良くわかりません。
さて、選挙での当選者が決定すると、すぐさま「当選証書」をそれらの方々に授与されます。区議選の場合、40名以上いるので、選挙管理委員が手分けして、車に乗って各陣営の事務所にてお渡しします。
通常事務所なのですが、当選者によっては場所がなく、道端で実施したことがありました。今思うと、レアケースでしたね。
区議区長選のスケジュールの12にありますが、翌日には区役所内で、選挙に関する事務のお礼として町内放送を実施します。それだけ、投開票作業には区の職員がかかわっているという事です。
また、スケジュールの13にあるように、警察へあいさつ回りをいたします。
江東区の場合は、城東・深川・東京湾岸警察があるので各所への向かいます。
選挙は、選挙違反や投開票所のトラブル防止のために警察がかかわっており、そのお礼です。
3回に分けて、選挙管理委員の視点で選挙のお話をしてきました。特に今回は、一般の人には目に触れづらい「開票作業」でしたが、多くの人間・時間・コストがかかって票が決定されています。
誰に投票したらいいかわからないとか、時間がないなどの理由で、選挙に行かない権利もありますが、そのような人が増えると、行政を司る政治が暴走するリスクがあると思います。
いまは、SNSやYoutubeなどで各候補者の意見を容易く見やすくなりましたので、ぜひ、選挙に行っていただきたいと思います。
なお、投票所ではスマホが使えませんので、投票所に行く前に投票する候補者、比例代表の場合は政党を決めていくことをお勧めします。
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